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ベートーヴェン 9枚組 ピアノ・ソナタ第1番〜第32番 タチアーナ・ニコラーエワ(ピアノ) 録音:1984年1月、3月、4月 モスクワ音楽院大ホール ニコラーエワ(1924〜93)は20世紀後半のロシアを代表するピアニストのひとり。バッハ演奏の権威として知られたピアニストだけに、残されたレコーディングもバッハ、そして懇意だったショスタコーヴィチの録音が主体ですが、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、チャイコフスキーなど幅広いレパートリーを持って活躍した演奏家でした。このベートーヴェンは1984年のピアノ・ソナタ全曲演奏会のライヴ録音で、演奏終了後の拍手も入っています。真性のライヴ録音なので多少のミスタッチはありますが、濁らない透明感のある音色、神経質さを感じさせない骨太な進行、多彩な表情と豊かな情感など、全く素晴らしい演奏です。 聴衆を前にしての感興に乗った演奏というのは、このリサイタルに参加しているかのような愉悦を感じさせてくれます。ミケランジェリやリヒテルなどにくらべても、ずいぶん男性的で思い切りのよいタッチ、骨太な演奏に一種清々しさすら感じる。 ニコラーエワのベートーヴェンは、非常に平明かつ明朗で、凛々しく旋律線を濃く描き出したものである。強靭な音色を使用し、メロディを担う音が強く奏でられ、それに即して、他の音は階層的な役割を明瞭に与えられており、非常に棲み分けがはっきりしている。いかにもロシア・ピアニズムと呼ぶべき音の強さや低音の重々しさがある一方で、明快に響くその音色は、むしろラテン的と形容したいほどの明るさを持っており、彼女のベートーヴェンを、特徴的なものにしている。実に堂々としており、たくましい。響きは清張であり、なかなか聴き味豊かな演奏である。このピアニストならではのベートーヴェンを確かに感ずることは出来るので、個人的には、十分に芸術を味わえる内容だと思っています。 こうした音楽を聴くたびに思うのは「技術」とはなにか?ということに思いが至る。たしかに、現代最高のテクニシャンの演奏には聴くものを高揚させるスポーツ的な快楽がある。だが、晩年のゼルキンやニコラーエワの音楽に触れるたびに、演奏の「内側」にあるをもの強く感じる。 輸入盤、盤面傷無し 外箱少し傷みあり *まとめ買い値引き致します(要事前コメント)
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ベートーヴェン 9枚組
ピアノ・ソナタ第1番〜第32番
タチアーナ・ニコラーエワ(ピアノ)
録音:1984年1月、3月、4月 モスクワ音楽院大ホール
ニコラーエワ(1924〜93)は20世紀後半のロシアを代表するピアニストのひとり。バッハ演奏の権威として知られたピアニストだけに、残されたレコーディングもバッハ、そして懇意だったショスタコーヴィチの録音が主体ですが、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、チャイコフスキーなど幅広いレパートリーを持って活躍した演奏家でした。このベートーヴェンは1984年のピアノ・ソナタ全曲演奏会のライヴ録音で、演奏終了後の拍手も入っています。真性のライヴ録音なので多少のミスタッチはありますが、濁らない透明感のある音色、神経質さを感じさせない骨太な進行、多彩な表情と豊かな情感など、全く素晴らしい演奏です。
聴衆を前にしての感興に乗った演奏というのは、このリサイタルに参加しているかのような愉悦を感じさせてくれます。ミケランジェリやリヒテルなどにくらべても、ずいぶん男性的で思い切りのよいタッチ、骨太な演奏に一種清々しさすら感じる。
ニコラーエワのベートーヴェンは、非常に平明かつ明朗で、凛々しく旋律線を濃く描き出したものである。強靭な音色を使用し、メロディを担う音が強く奏でられ、それに即して、他の音は階層的な役割を明瞭に与えられており、非常に棲み分けがはっきりしている。いかにもロシア・ピアニズムと呼ぶべき音の強さや低音の重々しさがある一方で、明快に響くその音色は、むしろラテン的と形容したいほどの明るさを持っており、彼女のベートーヴェンを、特徴的なものにしている。実に堂々としており、たくましい。響きは清張であり、なかなか聴き味豊かな演奏である。このピアニストならではのベートーヴェンを確かに感ずることは出来るので、個人的には、十分に芸術を味わえる内容だと思っています。
こうした音楽を聴くたびに思うのは「技術」とはなにか?ということに思いが至る。たしかに、現代最高のテクニシャンの演奏には聴くものを高揚させるスポーツ的な快楽がある。だが、晩年のゼルキンやニコラーエワの音楽に触れるたびに、演奏の「内側」にあるをもの強く感じる。
輸入盤、盤面傷無し
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